危険な調査(その3)

入り口付近の動きが慌しくなり、頻繁に出入りする若い社員?達の内の一人が、リンカーンのエンジンを始動させます。一刻後、恰幅のいい重役?らしき人物が秘書?と思しき迫力満点の中年男性に付き添われながら勤務先?より退出、既に後部ドアが開くリンカーンへと乗り込み、程なく発進。ところがっ!予想に反して一方通行逆走でこちらへとぐんぐん近づいて来ます。おかしいとは思っていたんです・・・元々リンカーンは逆走向きに停まっていたので。方向転換なんてするわけなかったんですね。この方々に交通法規はあまり関係ないようです。このままだと我々の車とすれ違ってしまいますが、もう仕方ありません。やり過ごして一拍置いてから、こちらも向きを変え直ちに追尾開始です。途中、リンカーンが急停車し、若い社員が飛び出して来ました!!しまった、気付かれたっ!?

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危険な調査(その2)

調査対象がその筋の方だからといって、一介の調査員に拒否権はありません。危険を感じた時点で打ち切っていいのですから(当たり前です)即出動です!現場付近に到着し、普段の数倍の緊張感を抱えながら勤務先?の様子を窺ってみると・・・入り口壁面に掲げられる迫力のある会社名?が目に飛び込んできます。傍らには、ラフで派手な格好で立ち番する若い社員?の姿。そして、道のど真ん中に停車する黒塗りのリンカーン。いつもより距離をとって張り込みたいので、周辺の道筋を把握しながら、どうやろうか考えます。幸い、勤務先に面した通りは一方通行なので、発進する方向に向けて、こちらも車輌を待機し、追尾に備えます。リンカーンが発進しても、一本道なので、迂回して先回りすれば、自然な形で追尾に入れます(つづく)


危険な調査

調査着手前に必ず目を通すのが依頼書です。調査対象の住所年齢などの基本情報は勿論、性格や癖から交友関係に至るまで詳細なパーソナルデータ、そして、一番重要な調査目的が書かれています。ある調査で依頼書を読んでいた時です。氏名が書かれていないのはよくある事として、情報が極端に少ない!スタート現場である対象の勤務先は、治安の悪い地域で知られる繁華街の一角。対象使用車輌は黒のリンカーン(???一般人が普通乗る車じゃないし)悪い予感がしながら調査目的欄まで読み進めると、書いてあったのは、たった一行でした。「身の危険を感じたら終了」と。悪い予感は当たるものです。対象は何と、その筋の方・・・。